不動産の売却方法の一つ「リースバック」とは?
リースバックとは、自宅を売却した後も賃借して住み続けられるという不動産の売却方法です。「売却後も自宅に住める」というメリットがある一方、注意点を知らないと損をしてしまう恐れもあります。ここでは、リースバックの仕組みとメリットや利用時の注意点を解説するので、ぜひ参考にしてください。
リースバックの仕組み
リースバックの主な仕組みは以下のとおりです。
①自宅をリースバック会社に売却する
②売却代金を受け取る
③賃貸借契約を結ぶ
④自宅を賃借し、毎月家賃を払って住む。
買主は不動産会社やリースバック会社のため、売主は自分で買主を探す必要はありません。買主が見つかるまでに時間がかからないので、売却後すぐにお金を受け取れます。契約期間は普通の賃貸借契約同様2~3年の間で結ばれます。契約満了後、借主の意思で更新できる契約内容にすることも可能です。長期的に住みたいなら、事前にその旨を伝えましょう。
リースバックのメリット
リースバックには魅力的なメリットがたくさんあります。ここではメリットを5つ挙げてご紹介します。早速、確認しましょう。
メリット1:売却した後も自宅に住める
最大のメリットは、売却後も自宅に住めることです。引っ越しがないので、「卒業前に転校しなくてはならない」「最寄り駅が遠くなり、通勤が不便になってしまう」という心配はありません。以前の環境のまま生活を送れます。
メリット2:まとまったお金がすぐ手に入る
リースバックは、売却後すぐにまとまったお金を手に入れられます。会社が買い取ってくれるので、取引はスムーズです。買主が見つかるまでに時間がかかり、ヤキモキすることはないでしょう。
メリット3:近隣に知られず売却できる
リースバックの場合、不動産会社は表立った売買活動をしません。持ち主とリースバック会社の間で取引が進みます。自分から言わない限り、近隣に売却した事実を知られる心配はないでしょう。
メリット4:固定資産税などの維持費を払わずに済む
月々の家賃は発生しますが、固定資産税や都市計画税、火災保険料などの維持費は所有者であるリースバック会社が払います。自宅がマンションなら、管理費や修繕積立費も払わずに済みます。
メリット5:ゆくゆくは買い戻せる可能性も
リースバックで一度売却した自宅を、再び買い戻すことも可能です。買い戻す予定があるなら、売買契約時に買い戻し特約や再販売の予約を契約内容に含めてもらいましょう。買い戻し特約とは、売買契約から一定期間内であれば、売主が売買代金と契約の費用を返して、売却した不動産を取り戻すことができるという特約です。
買い戻し特約は、売買契約時に行う必要があり、買い戻せる期間は10年までと制限があります。一方、再販売の予約とは一度売却した不動産を、買い戻すための予約をすることです。
売却金額が安くなる?リースバック利用時の注意点
次にリースバックを利用する際に、把握しておきたい注意点を5つ挙げご紹介します。利用前に必ず確認しましょう。
売却金額は相場に比べ低い
リースバックでの売却金額は市場価格の6割~8割程度といわれており、普通の不動産売却に比べると低い傾向にあります。とはいえ、依頼する会社よって金額はさまざまです。複数の会社に見積りを出してもらい比べると良いでしょう。
同じエリアの相場より家賃が高くなる
一般的に、家賃の金額は売却金額をもとに算出されます。そのため、同じエリア内の同等の家やマンションの相場より家賃が高くなることも考えられるでしょう。一概に売却金額が高ければ高いほど良いというわけではありません。家賃を考慮して売却金額を決めると無理せずに済みそうです。
賃借期間が決まっている
売却した自宅は、多くの場合住み続けられる期間が決まっています。依頼する会社によって、借主の意思で更新できる契約内容にしてもらえるので、長期的に住みたいと考えているなら申し込む前にその旨を伝えましょう。
好き勝手にリフォームができない
リースバックで不動産を売却すると、所有権は売却先のリースバック会社に移ります。住む場所は変わらなくても、好き勝手にはできません。例えば、「和室を洋室にリフォームしたい」「お風呂の浴槽を取り替えたい」と思っても、新しい所有者に許可をもらわなければなりません。自宅を好き勝手にできないのは不便ですね。
買い戻しの金額は売却金額より高くなる
売却金額より買い戻し金額が高くなるのが一般的です。普通、買い戻し金額は売却金額の1割~3割程度増した金額となります。例えば、リースバックの売却金額が1,600万円だと、買い戻し金額は1,760万円~2,080万円程になります。この場合、最高で400万円以上売却金額より買い戻し金額が高くなっているのが分かります。「後で買い戻せばいい」と安易な発想は避け、慎重に検討しましょう。
今回は、リースバックの仕組みとメリットや利用時の注意点を解説しました。リースバックはメリットばかりに気をとられていると、損をしてしまう恐れがあります。利用前に注意点を把握し、慎重に考え行動しましょう。「すぐにまとまったお金が欲しい」という方は注意点に気をつけ、一度リースバックを検討してみても良いでしょう。