相続した家が空き家だった場合固定資産税が高額になるってホント?
相続した空き家を放置していると、通常の固定資産税の6倍もの金額を支払う事態に陥る可能性があることを知っていますか?使用していない建物に対して高額の固定資産税を支払い続けるのを避けるためにも、相続後は迅速な対応が必要です。今回は、空き家問題や特定空き家の概要に加え、固定資産税を軽減する方法についても詳しく解説します。
空き家に関する問題とデメリット
空き家問題の概要、放置によるデメリットは以下の通りです。
近年増えている「空き家問題」とは?
最近では、人の住んでいない「空き家」が急激に増加しています。空き家問題は、主に地方で進行しており、少子高齢化を背景とした過疎化が原因であると考えられています。2014年には「空家等対策の推進に関する特別措置法」が国会で成立しており、社会全体の問題として取り組みが進められているのです。現在では、国土交通省の対策として、自治体ごとに空き家所有者の特定を行い、必要であれば助言・指導を行っています。
相続した空き家を放置するとどうなる?
現在の日本では核家族化が進行しており、両親とは別居で暮らしているケースが多いです。この場合、両親が亡くなると実家は空き家となってしまいますが、そのまま放置しているとさまざまなデメリットが生じます。
具体的には、
①固定資産税の支払いが必要
②放置するほど不動産としての価値が下がってしまう
③トラブルを引き起こす原因となる
といった内容が挙げられます。
固定資産税は、対象となる不動産に人が住んでいるかどうかに関わらず、不動産を所有しているだけで支払いが必要となる税金です。使用していない空き家のために税金を支払い続けなければならないため、今後引っ越す予定がなければ、早めに対策を講じるのが賢明です。また、建物は人が暮らしていないと一気に劣化が進みます。カビや虫の繁殖、建物・排水管の傷みなどが進行すれば、いざ売却しようと考えたときには売れなくなってしまうでしょう。
さらに、空き家は苦情・犯罪を起こしやすく、放置しているとトラブルの原因となり得ます。当然対処は相続人が行わなければならないため、トラブル回避のためにも取り壊し・売却などを早めに検討しましょう。
特定空き家になったとき固定資産税が高くなる?
空き家が「特定空き家」に認定されると、固定資産税の金額が非常に高額になります。ここでは、特定空き家の概要と固定資産税の金額について解説します。
特定空き家の概要と条件
「特定空き家」とは、人の出入りや水道・電気・ガスなどの使用有無、建物自体の管理状態、住民票の内容などから判断して、周囲に悪影響を及ぼす可能性があると認定された建物です。
具体的な条件は、
①放置することで家屋の倒壊の危険があること
②放置することで衛生上有害となる恐れがあること
③管理不足が原因となり著しく景観を損なっていること
④放置によって周辺の生活環境の保全を阻害すること
のいずれかに当てはまる建物です。
特定空き家となるまでのプロセス
不動産は大きな財産であるため、人が住んでいないというだけで簡単に特定空き家に認定することはできません。
特定空き家として認定されるプロセスは、
①周辺住民から地方自治体へ空き家に関する苦情が届く
②地方自治体が空き家の把握をしたら所有者を特定して連絡を取る
③所有者に対して空き家の売却・取り壊しなどの助言・指導を行う
④所有者が現状を改善しなければ、所有者に対して通知した上で現地で実態調査を行う
⑤先述の「特定空き家の条件」に当てはまる場合、特定空き家に認定される
という流れです。
特定空き家の固定資産税
固定資産税の計算では、住宅用不動産の場合は軽減措置が適用されます。しかし、特定空き家に認定された不動産には軽減措置の適用がないため、固定資産税は通常の6倍ほどの金額となります。
固定資産税を軽減する方法とは
相続した空き家の固定資産税を軽減する方法は、以下の3つです。
空き家に引っ越す
両親から相続した家に住むことで、空き家となることを未然に防ぎ、固定資産税を抑えられます。すでに自身がマイホームを購入している場合は難しいですが、賃貸で暮らしている場合にはもっともスムーズな方法です。
賃貸物件として運用する
固定資産税の軽減措置を受けられる「居住用建物」として認められるには、自身で居住していなくとも、賃貸などで居住用として貸し出せばよいとされています。マイホームに暮らしていて引っ越しが難しい場合は、賃貸に出すのも方法の1つです。
売却する
相続物件を売却してしまえば、そもそも固定資産税の支払いは必要なくなります。今後引っ越す予定がない場合や、賃貸に出すのが現実的ではない場合には、思い切って売却してしまうのもよいでしょう。
まとめ
今回は、空き家問題の概要や特定空き家の概要・条件に加え、相続した空き家の固定資産税を軽減させる方法について詳しく解説しました。別居で暮らしている両親がなくなった場合には、相続により空き家を所有することになります。対策を取らずに放置していると、固定資産税を支払い続けなければならないうえ、最悪の場合は特定空き家として6倍の税金を支払うことになる可能性もあります。自身が引っ越すのが難しい場合は、賃貸や売却なども検討しましょう。